富士屋ホテル 花御殿


富士屋ホテルの「顔」であり、今なお、代表的な宿泊施設となっているのが花御殿です。
5階建てでありながら、外観は社寺建築風のいたって和の面持ち。
瓦で葺かれた入母屋四棟屋根が空と周囲の緑に映えます。
和式の屋根をここまで見上げる機会は天守閣ぐらいしかないので、なかなかの迫力を感じます。

3・4階には、バルコニーと呼んでよいのかどうか、ぐるりと高欄が巡らしてあり、
外観上の大きなアクセントとなっています。
また、1・2階は上階と趣きががらりと変わって、
正倉院のような校倉造(あぜくらづくり)を模した蛇腹の壁面になっていますが、
県内では、鎌倉の国宝館にも、同様のデザインがみられます。

内部も外観と違わず和の意匠を基調としており、
特に特別室は、折上格天井の重厚な意匠で、ちょっとホテルの1室とは思えないほど。
この部屋には、国内外の数多くの著名人が宿泊したそうです。
また、館内にはオリジナルの照明器具等も多数残されており、
中でも照明を落とした通路や階段などは、
タイムスリップ感を味わうことのできるワクワクするような空間となっています。(仁木)

Data
所在地:足柄下郡箱根町宮ノ下359
構造:R.C.5階、地下1階
設計:
施工:河原徳次郎
建築年代:昭和11年


 


かつてジョン・レノンも宿泊した特別室。



(C) 近代建築アーカイブクラブ All Rights Reserved.