五十嵐商店


小田急秦野駅から歩いて数分、花みずき通り商店会に並ぶ五十嵐商店は、
神奈川県内において、最も優れた意匠と規模を誇る「看板建築」であり、
この分野の建築としては、仮にその範囲を全国に広げたとしても、その評価は大きくは変わらないと思います。
誰もが銀行や、かつての一流商社の建物と見まがうほどの出来栄え。
実は日曜雑貨のお店なのです。

きっと皆さんは驚かれると思いますが、この五十嵐商店。
横浜関内の重厚な近代建築群や鎌倉の社寺仏閣に肩を並べ、
実は「かながわの建築物100選」選ばれている事実を皆さんはご存知でしょうか。
タバコ栽培で一時代を築いた地域とはいえ、
商店建築としては、必要外とも思えるほどの美しい古典様式の外観を持った建築であるという特異性に加え、
震災後間もない大正期に建てられ、かつ創建時から用途の変わらない、「現役の建築」であるということ考えれば、
ごく当然の評価ということになるのでしょうか。(仁木)

Data
所在地:秦野市本町2-4-9
構造:木造3階
設計:森田工務店
施工:森田工務店
建築年代:大正14年

 


角型でありながら、溝も柱頭の飾りも施された、立派なコリント式の柱。



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