小田急向ヶ丘遊園駅
(及び近隣の文化住宅)


開業当時の息吹を今に伝える、同社にとって最後の近代建築の駅舎となる建物です。
近年の補修工事により、若干、平面的なファサードに変更されましたが、
窓周りの装飾などはそのままに、愛らしい表情に変わりはないようです。

また、この駅舎の特徴でもある、
途中で勾配角の変わる腰折屋根(ギャンブレル屋根)は、
北海道の建築などには多く見受けられますが、
この神奈川で思い当たるところでは、横浜にある洋館に見られるくらいであり、
県内でもそう数多くない戦前の駅舎ということも併せて考えれば、
いかにこの建築が希少で大切なものか、お分かりいただけるかと思います。

当初は、この建物を含めて、5棟の同型の駅舎が建設されましたが、
うち3棟はすでに現存せず、残りのうちのひとつである新松田駅は、老朽化による解体を免れ、
向ヶ丘遊園内に移築の上、鉄道博物館として活用されていた時期もありましたが、
平成14年の同園閉鎖に伴い、その存否については不明となっています。

Data
所在地:川崎市多摩区登戸
構造:木造1階
設計:小田急電鉄
施工者:
建築年代:昭和2年

 建築年としている昭和2年は、小田急小田原線の開通年。
建物の完成自体は、少々遡る可能性もあります。

 
近隣の文化住宅。



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