小田原城址公園二の丸観光案内所

小田原市の観光名所である小田原城址公園は、
本丸・二の丸の大部が国の史跡に指定されるなどの歴史的価値に加えて、
市や関係団体等の尽力もあって、園内は計画的に整備が進められており、
全国的にも有数な歴史公園として生まれ変わろうとしております。

しかし、現在そびえる天守閣や常盤木門、銅門などはすべて戦後の新しい建築であり、
残念ながら、15世紀半ばの築城から幕末にかけての建築は、明治の初期までにすべて解体されています。
そんな中にあって、この二の丸観光案内所は、昭和の初期に建てられた近代建築であり、
言うまでもなく、日ごとその文化財的な価値は高まってきております。

下見板張り、縦長の上げ下げ窓など、洋風の躯体を持ちながら、
史跡の雰囲気を壊さぬよう、屋根は日本建築の意匠となっており、
明治の初期の居留地等にあった、いわゆる擬洋風建築の部類に入るものと思います。
この手の建築は、アンバランス、違和感という言葉が付きまといやすいのですが、
写真をご覧いただいてお分かりになると思いますが、実に整然とした立ち姿であり、
この建物の写真を撮ったり、スケッチをしたりという人も少なくはありません。

現在、この建物及び同じ城址公園内にある小田原城歴史見聞館(旧小田原第2尋常小学校講堂)は、
公園の整備計画に伴い、解体撤去または移築保存等の議論がなされているということですが、
くれぐれも誤った方向へ議論が進まないことを願ってやみません。
また、活用に向けて、地域の有志の方たちの活動に期待しています。(仁木)

Data
所在地:小田原市城内7-8
構造:木造2階
設計:
施工:
建築年代:昭和初期
備考:

元は図書館だったということです。詳しい情報をご存知の方がいらっしゃいましたら、ご教示願います。



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