神奈川日冷山手営業所

山手町184番はとても面白い。
山の手への玄関である谷戸坂登り口の角地がその場所であり、当時としても一等地にあたります。
明治12年、ウォーターズ兄弟によってこの場所で始められた
機械製氷会社「ジャパン・アイス・カンパニー」は、
2年後にオランダ人に買収され、「ヨコハマ・アイス・ワークス」と名前を変えるものの、
そのまま営業は続行されました。
その後、明治29年に「横浜製氷株式会社」に譲渡されると、大正元年には「帝国冷蔵」に経営権が継承され、
その後震災で建物が倒壊するも、すぐさまに写真の建物が再建されて現在の神奈川日冷山手営業所に至っているのです。

つまり、経営者や社名が変わり、時代が変わっても、震災があっても、戦争があっても
じつに120余年もの間この場所ではずっと製氷業が営まれてきたわけです。
ここ横浜では、氷ひとつにも物語があるのです。(仁木)

※平成13年6月、解体を確認しました。残念です。
Data
所在地:横浜市中区山手町184
構造:木造2階
設計:
施工者:
建築年代:大正13年

氷を扱う会社のせいか、下見板張りの建物は昔から白塗り。



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