神奈川県庁本庁舎


神奈川県を代表する近代建築のひとつにあげられる建物です。
赤坂迎賓館の設計者・片山東熊の手による三代目の庁舎は、関東大震災による火災で大きな被害を受け、
修復という道もあったのですが、幾多の議論の末に、
結局、新庁舎建設の公開設計競技を行って、建て替えへ向けての一歩を踏み出したのでした。
そのコンペの一等に入選したのが、小尾嘉郎の案であり、建物の外観や基本的なプランはここでほぼ決まったようです。

外観は、日本の城の天守閣の様な塔屋を中央に載せているのが特徴で、この様な建物を帝冠様式といいます。
また、スクラッチタイルの使用や、中央部のディティールにおいては、フランク・ロイド・ライトの影響も感じさせます。

内部についても、和洋のハイブリッドがうまい具合になされており、
特に大会議場などは、県行政の最高機関としての格式の高さを強調するかのように、折上格天井が張り巡らされています。(仁木)
※内部の一班公開はしておりません。

Data
所在地:横浜市中区日本大通1
構造:S.R.C.5階 地下1階
設計:小尾嘉郎
施工:大林組
建築年代:昭和3年10月
備考:国登録文化財


 

大会議場。折上格天井、2階の傍聴席の一部が見えます。
シャンデリアも実に壮麗です。    

 

大会議場の演壇。歴史の重みが伝わってきます。
 

階段部分。両脇に仏教由来の陶製装飾がついている。
 

現在は使われていないエレベーターのインジケーター部分。
針で階数を指し示すようになっています。        



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