ストロングビル


旧川崎第百銀行横浜支店(前東京三菱銀行横浜支店)や日本火災横浜ビル(旧川崎銀行横浜支店)等を手掛けた、
横浜生まれの建築家、矢部又吉の作品です。
上記のような、華美な古典様式作品と比較すれば、特段に凝った意匠はありませんが、
むしろそれが清楚な印象すら醸し、近代建築愛好家にも人気のある建築です。
テナント店舗が1階に入っていますので、ファサードの景観が若干損なわれているのは些か残念に思いますが、
上品なイメージの裏で、しぶとく、逞しく生き残る様に、感動に近い気持ちすら覚えます。

入口上部には、社名の「Storong & Co. Far East Ltd.」 の文字が見えますが、
ストロング・アンド・カンパニー(後のストロング極東株式会社)は、
開港間もない時代から、横浜関内地区で活躍したストラウス商会の流れを汲む、数少ない居留地商社です。

従って、ストロングビルは、
横浜に生まれた建築家の手による、横浜生え抜きの商社建築として、
貴重な存在であることは、言うまでもありませんし、
ある意味、横浜を代表する建物のひとつになるのかも知れません。(仁木)

2007年解体となりました。

Data
所在地:横浜市中区山下町204
構造:R.C.3階
設計:矢部又吉
施工者:
建築年代:昭和12年

 ドラマ・映画のロケでも、数多く使用されました。
 


特徴的な意匠が集中するポーチ付近。
 
  

 



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